2021年1月8日(金)〜 2月7日(日)の間、政府から11都道府県に対して緊急事態宣言が宣言されています。
緊急事態宣言中は「テレワーク」が推奨されており「出勤者を7割減にする」ことが求められていますが、テレワークを推進する活動はコロナ禍になる前から行われていました。

こちらの記事では総務省が公表しているデータや日本生産性本部が行ったアンケートをもとに、在宅勤務の利用率や導入率をまとめています。

データ出典元:総務省日本生産性本部

テレワーク推奨の動き

テレワーク・デイ

テレワークを推奨するような動きが活発になったのは、2020年に行われる予定だった2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けてのものでした。

これは2012年のロンドンオリンピック・パラリンピックの際に競技期間中の交通機関が大混雑することを予測し、市交通局がテレワークを推奨する動きのことです。
ロンドン市内では約8割の企業がテレワークを導入した結果、混雑の緩和や従業員の満足度が向上したことから、日本でも導入が決定しました。

具体的には車内や顧客先を勤務先とするモバイルワークや、通信設備が整っていて企業の本社や本拠地から離れた場所に設置する小規模なオフィスの実施、時差出勤をなどを推奨する「テレワーク・デイ」と名付けられたこの活動は、働き方改革の一環として2017〜2020年の毎年7月に予行練習として行われてきました。

2017年時のテレワーク利用動向

分類 内容 テレワーク導入企業における導入率(%)
在宅勤務 自宅でのテレワーク 29.9%
モバイルワーク 営業活動など、外出先で業務を行うテレワーク 56.4%
サテライトオフィス勤務 本来の勤務先以外のオフィスで行うテレワーク 12.1%

引用:総務省「平成30年版情報通信白書

コロナ禍でのテレワーク推奨

第1回緊急事態宣言が宣言された際は、人との接触を「最低で7割、極力8割減少することが求められていました。
しかし再宣言がされた第2回緊急事態宣言では上記までは求められていませんが、交代勤務やテレワークで通勤を「7割減」目指すとされています。

下記のグラフは実践活動により生産性向上をめざす公益財団法人 日本生産性本部が全3回行っている新型コロナウイルス感染症が組織で働く人の意識に及ぼす影響の継続調査(第3回「働く人の意識調査」)結果を取りまとめたデータをもとに、筆者が作成したものです。

第1回 2020年5月11日~2020年5月13日
第2回 2020年7月6日~2020年7月7日
第3回 2020年10月5日~2020年10月7日
アンケート回答数
回答数
1,100 100.0
Q.現在、あなた自身が行っている働き方をいくつでも選んでください。
調査期間:2020年10月5日~2020年10月7日

※テレワークの実施率(日本生産性本部「第3回 働く人の意識に関する調査」の結果を元に筆者作成)

「特にない」が55%と、もっとも多いことがわかります。
これはコロナ禍にかかわらず、今までどうように出勤をして働いている方が多いということです。
次いで多いのが14.6%の「自宅での勤務」、13%の「時差出勤」、続いて10.8%の「短時間出勤」です。

テレワークの仕事効率の変化

こちらではテレワーク行っていると答えた方の中でも投票が多かった「自宅での勤務」に注目し、テレワークに変化してから仕事の効率はどう変化をしたのか?をご紹介します。
アンケートが行われた3ヶ月間の変化もグラフでまとめました。

効率 第1回(%) 第2回(%) 第3回(%)
効率が上がった 7.2 9.9 10.2
やや上がった 26.6 40.1 40.3
やや下がった 41.4 32.7 32.8
効率は下がった 24.8 17.3 16.7


※テレワークの実施率(日本生産性本部「第1回 働く人の意識に関する調査」、日本生産性本部「第2回 働く人の意識に関する調査」、日本生産性本部「第3回 働く人の意識に関する調査」の結果を元に筆者作成)

第1回の調査では効率が「やや下がった」という方が41.4%だったのが、第3回の調査では32.8%と8.6%の減少。
「効率は下がった」に関しては24.8%から16.7%と8.1%の減少が確認できます。

一方で「やや上がった」は26.6%から40.3%と13.7%の増大。
「効率が上がった」は7.2%から10.2%と3%の増大が確認できます。

テレワークを行っている全体数は減っていますが、長期的に在宅を続けている企業、もしくは個人に関してはテレワークに関する対策や工夫を、業務の効率が上がっていることが推測されます。

第2回緊急事態宣言後のテレワークデータまとめ

Q.現在、あなた自身が行っている働き方をいくつでも選んでください。
調査期間:2021年1月12日~2021年1月13



※テレワークの実施率(日本生産性本部「第1回 働く人の意識に関する調査」、日本生産性本部「第2回 働く人の意識に関する調査」、日本生産性本部「第3回 働く人の意識に関する調査」の結果を元に筆者作成)

まとめ

テレワークで通勤を「7割減」にすることが目標となっていますが、現状ではなかなか難しいことがデータからわかります。
これは第1回緊急事態宣言と違い、人との接触を「最低で7割、極力8割減少させる」ことが求められていないということが大きいと推測できます。